セグメント配信とは — 30秒でわかる基本

セグメント配信とは、友だち全員に同じメッセージを送る「一斉配信」ではなく、属性や行動でグループ分けし、グループごとに最適なメッセージを届ける配信方法です。

マーケティングにおける「セグメント」とは、共通の特性を持つ顧客の集まりのこと。たとえば「30代女性」「先月来店した方」「購入金額上位10%」などが1つのセグメントになります。

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ひとことで言うと

「適切な人に、適切な内容を、適切なタイミングで届ける」ための仕組みがセグメント配信です。

なお、LINE公式アカウントの管理画面には「セグメント配信」という名前の機能はありません。LINE公式では「絞り込み配信」と呼ばれています。本記事では一般的に広く使われている「セグメント配信」という用語で統一して解説します。

一斉配信との違い — 数字で見る効果の差

まずは一斉配信とセグメント配信の違いを、具体的な数値とともに比較します。

一斉配信 セグメント配信
配信対象 友だち全員 条件に合致する友だちだけ
メッセージ内容 全員同じ グループごとに最適化
平均開封率 30〜40% 50〜70%
クリック率(CTR) 2〜5% 8〜15%
ブロック率(月間) 1〜3% 0.3〜0.8%
配信コスト 全友だち分の通数が必要 対象者分だけで済む
運用難易度 低(全員に同じ内容を送るだけ) 中(セグメント設計とメッセージ作成が必要)

数字のインパクト

友だち10,000人のアカウントで月4回配信する場合:一斉配信なら月40,000通。セグメント配信で対象を平均30%に絞れば月12,000通——通数は約1/3になるのに、開封率・CTRは約2倍。費用対効果は6倍以上の差が生まれます。

セグメント配信の3つのメリット

1

開封率・CTRが大幅に向上する

自分に関係のある情報は「読む価値がある」と感じられるため、開封率・CTRが一斉配信の約2倍に。LINEはメールよりも通知が目立つ分、関連性の高さがそのまま反応率に直結します。

2x 開封率・CTR向上
2

ブロック率が下がり友だちが減らない

LINEをブロックする最大の理由は「関係のない通知が多い」こと。セグメント配信で必要な人にだけ送ることで、ブロック率は月0.3〜0.8%に低下。友だち数の目減りを防ぎ、長期的な資産として育てられます。

1/4 ブロック率に低減
3

配信コストを大幅に削減できる

LINE公式アカウントは従量課金制(ライトプラン月5,000通〜)。全員に送らず対象者だけに絞ることで、同じ予算でもより多くの施策を打てます。10,000人のアカウントで対象を30%に絞れば、通数は3,000通で済みます。

-70% 配信コスト削減

LINE公式アカウント標準の絞り込み機能

LINE公式アカウントの管理画面(LINE Official Account Manager)には、2種類の絞り込み機能が用意されています。

① 属性フィルター

友だちの基本属性で絞り込む機能

  • 友だち期間
  • 性別
  • 年齢
  • OS(iOS / Android / PC)
  • エリア(都道府県)
注意点:属性はLINEの「みなし属性」(推計データ)のため、実際の属性と100%一致するわけではありません。また、反映まで約3日のタイムラグがあります。

② オーディエンス

行動データでグループを作成して絞り込む機能

  • メッセージクリック
  • メッセージインプレッション
  • リッチメニュークリック
  • リッチメニューインプレッション
  • チャットタグ
  • 友だち追加経路
  • ウェブトラフィック
  • 予約
  • ユーザーIDアップロード
注意点:オーディエンスのサイズは最低50人以上必要です。属性フィルターとの併用はターゲットリーチ100人以上が条件です。

標準機能の限界

標準機能だけでは「来店回数」「購入金額」「アンケート回答内容」などのビジネスデータでの絞り込みができません。より高度なセグメント配信を行うには、CRMツール(外部ツール)との連携が必要になります。この点は後述の「標準機能 vs CRMツール連携」で詳しく解説します。

セグメントの切り方 — 3つの軸と具体例

セグメントの作り方には大きく3つの軸があります。LINE公式アカウントでは、これらを組み合わせて使うのが効果的です。

軸 1

属性セグメント

ユーザーの基本プロフィールで分ける

性別 年齢層 居住エリア 職業 家族構成
活用例 「30代女性・東京在住」の方にだけ、表参道店の新メニュー案内を配信
取得方法:LINE標準の属性フィルター(推計)/友だち追加時アンケート(確定データ)
軸 2

行動セグメント

ユーザーが実際に取った行動で分ける

最終来店日 購入回数 購入商品カテゴリ メッセージ開封・クリック クーポン利用履歴
活用例 過去30日以内に来店し、前回のクーポンを利用した方にだけリピート特典を配信
取得方法:LINE標準のオーディエンス(一部)/CRMツール連携(来店・購入データ)。行動セグメントを活用して開封率を2倍にする実践テクニックも参考にしてください。
軸 3

RFMセグメント

顧客価値を3軸のスコアで分ける

R Recency 最終購買からの日数
F Frequency 購買頻度
M Monetary 累計購買金額
活用例 RFMスコア上位20%のVIP顧客に先行セール案内、下位の休眠客に掘り起こしクーポンを配信
取得方法:CRMツール連携が必須(LINE標準機能では対応不可)。詳しいスコアリング手法はRFM分析入門で解説しています

初心者はここから始めよう

まずは「行動セグメント」の中でも「最終来店日」と「購入回数」の2つから始めるのがおすすめです。多くのビジネスで取得でき、セグメント配信の効果を最も実感しやすい軸です。属性データは友だち追加時のアンケートで徐々に蓄積していきましょう。

業種別・セグメント配信の活用例7選

実際にどのような場面で使われているか、業種別の具体例を紹介します。自社のビジネスに近いものを参考にしてください。

飲食店
セグメント 過去2週間以内にランチ利用した方
配信内容 「週末限定ディナーコース登場!ランチ常連のあなたに先行ご案内」
期待効果 ランチ客のディナー利用転換率 12〜18%
美容サロン
セグメント 前回来店から60日以上経過した方
配信内容 「そろそろカラーの時期では?ご予約で20%OFFクーポンをプレゼント」
期待効果 休眠掘り起こし率 8〜15%、クーポン利用率 25〜35%
ECサイト
セグメント カートに商品を入れたまま24時間以上経過した方
配信内容 「カートに入れた〇〇、まだ在庫あります。今なら送料無料!」
期待効果 カゴ落ち回収率 10〜20%、CVR 一斉配信の約3倍
クリニック
セグメント 定期検診の推奨時期(前回から6か月)が近い方
配信内容 「前回の検診から6か月が経ちました。LINEから簡単にご予約いただけます」
期待効果 検診予約率 20〜30%、無断キャンセル率 60%減
フィットネス
セグメント 入会1か月以内で来館が週1回未満の方
配信内容 「初めてのジム、不安ですよね。無料パーソナル体験をご用意しました」
期待効果 来館頻度が週1→週2.5回に向上、退会率 30%減
不動産
セグメント 物件資料を3件以上閲覧した方
配信内容 「お探しのエリアで新着物件が出ました。内見のご予約はLINEで簡単に」
期待効果 内見予約率 15〜25%、成約までのリードタイム 20%短縮
小売・アパレル
セグメント 過去にメンズカテゴリを購入した方 × 誕生月の方
配信内容 「お誕生日おめでとうございます!メンズ新作から15%OFFクーポンをお届け」
期待効果 誕生日クーポン利用率 40〜55%、購入単価 通常の1.3倍

セグメント配信の始め方 — 5つのステップ

セグメント配信は「難しそう」と感じるかもしれませんが、以下の5ステップで確実に始められます。

STEP 1

配信の目的を1つ決める

「リピート率を上げたい」「休眠顧客を呼び戻したい」「新メニューの認知を広げたい」——まず1つだけ目的を決めましょう。目的が決まればセグメントの切り方が自然に見えてきます。

例:「初回来店から2回目の来店につなげたい(F2転換率を上げたい)」
STEP 2

手元の顧客データを棚卸しする

来店日・購入履歴・アンケート回答など、すでにある顧客データを整理します。POSデータや予約台帳もLINEと紐づけられれば強力なセグメントの材料になります。

足りないデータは後から集められます:友だち追加時のアンケート、リッチメニューのタップ履歴、来店時のショップカード読み取りなど。
STEP 3

2〜3個のセグメントを作る

最初から細かく分けすぎると運用が回らなくなります。まずは2〜3個で十分です。

新規 来店1回の方
リピーター 来店2回以上の方
休眠 3か月以上未来店の方
STEP 4

セグメントごとにメッセージを作成・配信

各セグメントが「今何を求めているか」を考え、それぞれに合ったメッセージを作ります。

新規客へ

お店の魅力・こだわりを伝え、2回目来店のきっかけを作る(初回限定特典など)

リピーターへ

新メニュー・限定情報を先行案内し、「常連だけの特別感」を演出する

休眠客へ

「お久しぶりです」の一言と、復帰のきっかけになる期間限定クーポンを届ける

STEP 5

効果を測定し、次の配信に活かす

配信ごとに以下の数値をセグメント別に記録し、PDCAを回します。

開封率 目標 50%以上
CTR(クリック率) 目標 8%以上
CVR(成約率) 目標 3%以上
ブロック率 目標 月0.5%以下

LINE公式アカウント標準機能 vs CRMツール連携

「標準機能だけでもセグメント配信できるの?」という疑問に対して、正直に比較します。

標準機能のみ CRMツール連携
セグメント条件 性別・年齢・OS・エリアなど基本属性のみ(推計値) 購入履歴・来店日・RFMスコア・アンケート回答など自由に設定可能
データの精度 LINEの推計属性(反映に約3日のタイムラグあり) 自社の確定データ(リアルタイム反映)
自動配信 あいさつメッセージのみ 来店後フォロー・誕生日・休眠掘り起こしなど多彩なシナリオ
データ分析 配信数・開封数の基本集計 セグメント別CVR・LTV推移・RFM分析
運用工数 毎回手動で対象者を選定して配信 条件設定すれば自動で対象者抽出→配信
向いている規模 友だち数 〜500人程度 友だち数 500人以上〜

結論

友だち数が数百人規模であれば標準機能でも十分です。しかし1,000人を超えてくると、手動でのセグメント管理は現実的ではなくなります。購入履歴・来店データを活用した高度なセグメント配信を行いたい場合は、早い段階でCRMツールの導入を検討するのがおすすめです。

セグメント配信のよくある質問

Q. セグメント配信は無料で使えますか?

LINE公式アカウントの絞り込み配信(属性フィルター・オーディエンス)機能自体は無料で利用できます。ただし、メッセージの送信通数に応じた従量課金は通常どおり発生します。CRMツールとの連携には別途ツール利用料がかかります。

Q. 友だちが少なくてもセグメント配信はできますか?

属性フィルターを使うにはターゲットリーチが100人以上、オーディエンスは50人以上必要です。友だち数が少ないうちはまず友だちを増やす施策に注力し、数百人を超えた段階でセグメント配信を開始するのが現実的です。

Q. セグメントは何個くらい作ればいいですか?

最初は2〜3個で十分です。細かく作りすぎるとメッセージ作成の負担が増え、運用が回らなくなります。まずは「新規 / リピーター / 休眠」の3セグメントから始め、データが溜まってきたら徐々に細分化しましょう。

Q. 一斉配信は完全にやめるべきですか?

いいえ。店休日のお知らせ・全品セールなど全員に関係のある情報は一斉配信でOKです。セグメント配信はあくまで「特定の人に特定の情報を届けたいとき」に使います。一斉配信とセグメント配信を使い分けるのがベストです。

Q. 効果が出るまでどれくらいかかりますか?

開封率・CTRの改善は初回配信から実感できます。ブロック率の低下は1〜2か月、リピート率や売上への貢献は3〜6か月で数字に表れるケースが一般的です。

まとめ

  • セグメント配信とは:友だちをグループ分けし、それぞれに最適なメッセージを届ける方法。LINE公式では「絞り込み配信」と呼ばれる
  • 一斉配信との差:開封率は約2倍(50〜70%)、ブロック率は約1/4に低下
  • 3つのメリット:反応率向上・ブロック率低下・コスト削減
  • 3つのセグメント軸:属性・行動・RFM。初心者は行動セグメントから
  • 始め方:目的→データ整理→2〜3セグメント→配信→効果測定の5ステップ
  • 本格運用にはCRMツール:友だち1,000人以上ではツール連携で自動化が現実的