指標はどこに出るか — 画面と集計単位の地図
LINE公式アカウントの指標が分かりにくい最大の理由は、同じような名前の指標が、違う集計単位で並んでいることです。 まず、どの画面に何が出るのかを整理します。
- 友だち追加数
- ターゲットリーチ
- ブロック数
- 属性(性別・年齢・地域)
- 友だち追加経路
- 配信・開封・クリックユーザー
- 再生開始/再生完了ユーザー
- コンバージョンユーザー・率
- (詳細)インプレッション
- (詳細)クリック・クリック率
- メッセージ通数(課金の基準)
- ステップ配信の通数
- GA4・自社システム側のCV
「概要」と「詳細」で集計単位が変わる
「メッセージ配信」は概要と詳細で構成され、公式マニュアルでは指標ごとに集計単位が明記されています。 ここが読めていないと、同じ配信の数字なのに合わないという状態になります。
| 集計単位 | この単位の指標 | 数えているもの |
|---|---|---|
| 1メッセージ配信 | 配信 / 開封 / クリックユーザー / 再生開始・再生完了ユーザー | 人数。1回の配信につき1人1回まで |
| 1吹き出し | インプレッション / クリック / クリック率 / カウント | 回数(クリックユーザーのみ人数)。吹き出しごとに分かれる |
出典:LINEヤフー for Business 公式マニュアル「分析 - メッセージ配信」(2026年9月時点)。 1吹き出しとしてカウントされる形式は、テキスト・スタンプ・写真・クーポン・リッチメッセージ・リッチビデオメッセージ・動画・ボイスメッセージ・リサーチと記載されています。
数値が確定するまで14日
マニュアルには「各指標は、配信から14日間集計されます(コンバージョンは計測期間に応じて更新されます)」と記載されています。 さらにグラフは配信直後から24時間は約30分刻みで更新され、 この値は推定値で実際の数値と1%程度の誤差が生じる場合があるとも明記されています。 配信30分後の数字でA/Bテストの勝敗を決めないでください。
ターゲットリーチと友だち数
定義はLINE Developersの用語集および LINEヤフー for Businessの公式コラムの記述に拠ります。
ターゲットリーチが効いてくる場面
この数字は、見るだけの指標ではなく機能の利用条件になっています。
- 属性で絞り込んだ配信——「属性で絞り込むには、ターゲットリーチ数が100人以上必要です」と明記されています。
- 絞り込んだ後の人数——「属性(フィルター)を利用した絞り込み配信は、選択後の推計対象ユーザーが50人以上必要です」。
- 属性の鮮度——属性情報は「概ね3日前の属性情報を元に絞込みます」とされ、当日の変化は反映されません。
つまり、友だちが数十人の段階では属性配信そのものが使えません。 セグメントを切る前に母数を作る話は LINE公式アカウントの友だちを増やす7つの施策を参照してください。
属性は「みなし属性」で、約3日前の数値
分析画面に出る性別・年齢・地域は、本人が登録した値そのものではありません。 LINE Developersのドキュメントでは 「LINEファミリーサービスにおいて、LINEユーザーが登録した性別、年代、エリア情報と行動履歴をもとに分類した『みなし属性』」 と説明されており、携帯キャリアおよびOSはみなし属性に含まれないとも明記されています。
反映にも時間がかかります。公式マニュアルの集計タイミングの表では、 友だちの「属性」は1日に1回の集計で「反映されるまで約3日かかるため、表示されているのは約3日前の数値」とされています。 キャンペーン直後に属性の内訳を見ても、その日の流入は反映されていません。
配信数とメッセージ通数 — 似ているが用途が違う
この2つは、どちらも「送った数」に見えて、片方は効果測定用、もう片方は課金用です。
通数の定義と課金対象の一覧は LINE公式アカウントの料金プランページ、 配信の定義は公式マニュアル「分析 - メッセージ配信」の記述に拠ります。
吹き出しを増やしても通数は増えない
通数は「送った回数 × 友だちの数」なので、1回の配信に吹き出しを3つ入れても 1人あたり1通です。カードを9枚並べても同じです。 コストを気にして情報を削る前に、この数え方を確認してください。 通数を踏まえた設計はメッセージ料金の最適化にまとめています。
課金の基準になるのは通数の画面
「分析 → メッセージ通数」では、配信(すべての友だち)・配信(絞り込み)・ステップ配信に 有償を示すマークが付き、応答・あいさつ・チャット・AIチャットボット・メンバーシップには付きません。 請求に効くのはこの有償タイプの合計です。
インプレッションと開封 — 「回数」と「人数」
最も混同されるペアです。数える単位そのものが違います。
ふきだしが表示された回数。吹き出しの100%が表示された時点でカウントされ、 トークルームを開いてふきだしが表示されるたびに加算されます。 集計単位は1吹き出しで、「詳細」に表示されます。
メッセージを開封された人数。いずれかの吹き出しを100%表示した時点でカウントされ、 重複してカウントされることはありません。 集計単位は1メッセージ配信で、「概要」「詳細」の両方に表示されます。
同じ人が1日に3回トークルームを開けばインプレッションは3増えますが、開封は1のままです。 開封率を出すときは、必ず人数である「開封」を使ってください。
既読なのに開封に入らないことがある
公式マニュアルには「トークルームを開かずに既読にされた場合はカウントされません」と明記されています。 通知一覧やトークリストのプレビューで内容を読まれた場合、開封には計上されません。
また、吹き出しが縦に長い場合の注意もあります。 「同じメッセージに複数のふきだしがあり、さらに縦に長いふきだしが含まれる場合、 同じメッセージ内のふきだしでもインプレッションが発生するふきだしと発生しないふきだしが存在することがあります」と記載されています。 長い画像を使うと、その吹き出しだけインプレッションが伸びないことがあるということです。
「開封率」は画面にあるが、定義は別
概要画面では[配信・開封数][開封率][クリックユーザー]などのボタンでグラフを切り替えられますが、 指標一覧に開封率の計算式はありません。計算式が明記されているのはキャンペーン画面の表で、 そこでは「開封数を配信数で割った値」とされています。 レポートに載せる数字は、開封 ÷ 配信を自分で計算した値で統一しておくと、 画面の表示に振り回されずに済みます。
クリックとタップ — 分母に注意
クリック系は、同じ画面に「回数」と「人数」と「率」が並ぶため、引用するときに取り違えが起きます。
| 指標 | 集計単位 | 定義 | 出る場所 |
|---|---|---|---|
| クリックユーザー | 1メッセージ配信 | メッセージ内のいずれかのURLをクリックした人数 | 概要/詳細 |
| クリック | 1吹き出し | ふきだし内のURLがクリックされた回数 | 詳細 |
| クリック率 | 1吹き出し | クリック数をインプレッション数で割った数 | 詳細 |
| クリックユーザー | 1吹き出し | ふきだし内のURLをクリックした人数 | 詳細 |
管理画面のクリック率は、分母が配信数ではなくインプレッション数です。 「配信した人のうち何%がクリックしたか」を知りたい場合は、この数字をそのまま使えません。
配信をまたいで比較するときは、どちらの定義で出した数字なのかを台帳に書き添えてください。 開封率・クリック率の目安は LINE公式アカウントの開封率・クリック率の平均にまとめています。
クリックが計上されるメッセージ形式
マニュアルには「クリックの結果が表示されるメッセージフォーマットはURLを含むテキスト、リッチメッセージ、 リッチビデオメッセージ、クーポン、リサーチ、カードタイプメッセージです」と記載されています。 カードタイプメッセージの場合、クリックは「設定したアクションをクリックした回数」として数えられます。
コンバージョンの測り方
LINEの管理画面でもコンバージョンは見られますが、計測タグの設定が前提で、 かつ集計期間と表示条件に固有のルールがあります。
- コンバージョンユーザー——「メッセージ内の該当のリンクを最後にクリックされたリンクとして、そのリンクからコンバージョンを発生させたユーザーの数」。最後のクリックが要因とみなされます。
- コンバージョン率——「コンバージョンユーザー数をクリックユーザー数で割った値」。配信数で割った値ではありません。
- 計測期間——コンバージョンコードは30日間、カスタムコンバージョンは設定した期間中(最大90日間)計測されます。
- 表示条件——コンバージョンしたユーザーが20未満(1〜19)の場合、行が非表示になります。またセグメント表示では「ー」と表示されます。
事業成果そのものを追うなら、LINE側の数字だけで完結させず、 GA4や自社システムの購買・予約データと突合するのが確実です。 リンクにUTMパラメータを付けておけば、どの配信から来たかを外部側でも判別できます。 計測タグ・LINE Tagの設置手順とカスタムコンバージョンの作り方は LINEのトラッキング設定にまとめています。 成果から逆算したKPIの組み方はLINE配信のPDCAの回し方を参照してください。
ブロックと友だちの増減
友だち関連の数字は、増える側と減る側で数え方が非対称です。
| 指標 | 定義 | 間違えやすい点 |
|---|---|---|
| 友だち数(followers) | 指定した日付までに、アカウントが友だち追加された回数 | ブロックされても、相手がLINEアカウントを削除しても減らない累計値 |
| ブロック数(blocks) | 指定した日付時点で、アカウントをブロックしているユーザーの数 | ブロックが解除されると減る。時点の状態を表す数字 |
| ブロック数(管理画面) | 選択期間中のブロック数 | 「選択期間中に友だち追加したユーザーのブロック数ではありません」 |
| ターゲットリーチ | ターゲティング配信の対象になりうる友だちの母数 | 実際に届く人数の目安として使えるのはこちら |
累計の友だち数だけを見ていると、ブロックが増えても数字は右肩上がりに見えます。 実際に届く相手が増えているかはターゲットリーチで確認してください。
なお、ブロック率という指標は管理画面にありません。追うのであれば自分で計算します。
下げ方はブロック率を下げる配信設計にまとめています。 友だち追加経路については、90日以上の友だち期間があったユーザーがブロックした場合、 「その他」に分類される点にも注意してください。
指標の早見表
| 指標 | 単位 | 集計単位 | ひとことで |
|---|---|---|---|
| ターゲットリーチ | 人数 | アカウント | ターゲティング配信の対象になりうる友だちの母数 |
| 友だち数 | 人数 | アカウント | 追加された回数の累計。ブロックされても減らない |
| ブロック数 | 人数 | アカウント | 管理画面は期間中のブロック数 |
| 配信 | 人数 | 1メッセージ配信 | 送信された人数。送信日でカウント |
| 開封 | 人数 | 1メッセージ配信 | いずれかの吹き出しを100%表示した人数 |
| インプレッション | 回数 | 1吹き出し | 吹き出しが表示された延べ回数 |
| クリックユーザー | 人数 | 1メッセージ配信/1吹き出し | URLをクリックした人数 |
| クリック | 回数 | 1吹き出し | URLがクリックされた延べ回数 |
| クリック率 | 率 | 1吹き出し | クリック数 ÷ インプレッション数 |
| コンバージョンユーザー | 人数 | 1メッセージ配信/1吹き出し | 最後にクリックされたリンク経由でCVした人数 |
| コンバージョン率 | 率 | 1メッセージ配信/1吹き出し | コンバージョンユーザー数 ÷ クリックユーザー数 |
| メッセージ通数 | 通 | アカウント | 送った回数 × 送った友だちの数。課金の基準 |
分析画面に「無い」指標
次の3つは、探しても見つからないか、別のものを指しています。
ブロック率——指標として存在しないため自分で計算します。
有効な友だち数——公式の指標名ではありません。実際に届く相手の目安はターゲットリーチです。
トークヘッドビュー——分析画面の指標ではなく、LINEヤフーの広告商品「Talk Head View」のことです。
LINEの指標に関するよくある質問
Q. ターゲットリーチと友だち数は何が違いますか?
ターゲットリーチはLINEヤフーの用語集で 「性別や年齢、地域で絞り込んだターゲティングメッセージの配信先となる友だちの母数」と定義されており、 属性の推定が可能な友だちが対象です。友だちの総数そのものではないため、友だち数より小さくなります。 属性での絞り込み配信を使うには、ターゲットリーチ数が100人以上必要です。
Q. インプレッションと開封の違いは何ですか?
集計の単位が違います。インプレッションは1吹き出し単位の「ふきだしが表示された回数」で、 トークルームを開いて表示されるたびに加算されます。 開封は1メッセージ配信単位の「メッセージを開封された人数」で、 いずれかの吹き出しを100%表示した時点で1回だけカウントされます。 開封率を出すときは人数である開封を使います。
Q. 既読が付いたのに開封にカウントされないのはなぜですか?
公式マニュアルに「トークルームを開かずに既読にされた場合はカウントされません」と記載されています。 通知一覧から内容を読んだ場合などが該当します。 開封はあくまで、トークルームで吹き出しが100%表示されたかどうかで判定されます。
Q. 管理画面のクリック率は何を分母にしていますか?
1吹き出し単位のクリック率は「クリック数をインプレッション数で割った数」と定義されています。 配信数でも開封数でもありません。 配信ごとに比較するときは、分母が何かを揃えないと数字がずれるため、 人数ベースで見るなら「クリックユーザー ÷ 配信」を自分で計算します。
Q. 数値が「ー」と表示されるのはなぜですか?
結果が20未満(1〜19)の場合の仕様です。公式マニュアルによると、 [配信]は実数値が表示され、[開封]は「0」と表示され、その他の指標は「ー」と表示されます。 またセグメントごとの[配信]が49人以下の場合、セグメントごとの[配信]は表示されません (セグメントごとの[開封]が20人以上なら表示されます)。
Q. 指標はいつ確定しますか?
各指標は配信から14日間集計されます(コンバージョンは計測期間に応じて更新されます)。 またグラフは配信直後から24時間は約30分刻みで更新され、 この値は推定値で実際の数値と1%程度の誤差が生じる場合があるとマニュアルに記載されています。 配信直後の数字で勝敗を判断しないでください。
まとめ
LINEの指標を読み違えないための要点です。
- 指標には1メッセージ配信と1吹き出しの2つの集計単位がある。まずどちらの数字かを確認する
- インプレッションは回数、開封は人数。開封率の分母・分子は人数でそろえる
- 管理画面のクリック率の分母はインプレッション数。人数ベースで見たいなら自分で計算する
- ターゲットリーチは友だち数ではない。属性配信には100人以上が必要
- 友だち数は減らない累計値。実際に届く相手の増減はターゲットリーチで見る
- 数値が出ないのは多くが20未満・49人以下のプライバシー仕様
- 指標は配信から14日間集計。配信直後の値は推定値で誤差を含む
定義がそろうと、配信ごとの比較が初めて意味を持ちます。 次は、その数字をどう仮説検証に使うかです。 KPIの並べ方とサイクルの回し方はLINE配信のPDCAの回し方、 指標を上げる具体的な打ち手は開封率・クリック率の平均と改善策にまとめています。
配信をまたいだ推移を追うには管理画面だけでは手作業が増えます。 集計に時間を取られているなら、配信分析・効果測定の仕組みもあわせて検討してください。
